福島県の妖怪・怪談伝承 8選
福島県に古くから伝わる妖怪・怪談・伝説のスポットを、出典つきで紹介する。気になる伝承は「夜の地図」で実際の場所をたどってみよう。
あだちがはらのおにばば
安達ヶ原の鬼婆(黒塚)
安達ヶ原の岩屋に棲む老婆は、旅人を泊めては襲う鬼婆だったと伝わる。ある夜、宿を求めた妊婦の生き肝を取ったが、それが生き別れたわが娘と知って狂い、鬼と化したという。のちに旅の僧が観音の法力で鬼婆を退け、葬った塚が黒塚である。平安の歌人平兼盛に「黒塚に鬼こもれり」と詠まれ、能「黒塚(安達原)」の題材としても名高い。阿武隈川のほとりの観世寺には鬼婆の岩屋や出刃包丁が伝えられる。
出典・伝承元: 『拾遺和歌集』平兼盛歌・能「黒塚(安達原)」・観世寺縁起
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いなわしろじょうのかめひめ
猪苗代城の亀姫
会津の怪談集『老媼茶話』によれば、寛永十七年、猪苗代城を預かる堀部主膳の前に見知らぬ童が現れ、城の主・亀姫に挨拶がないと咎めた。この城に主は他にいないと退けた主膳のもとでは、年明けの広間の席に棺や葬具が置かれ、夜には大勢で餅をつくような怪音が響くなど不吉な出来事が続き、正月のうちに主膳は急死したという。亀姫は姫路城の長壁姫の妹ともいわれる城の主で、亀ヶ城の別名で親しまれる猪苗代城跡に語り継がれる怪談である。
出典・伝承元: 『老媼茶話』
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かしこぬまのおおうなぎ
賢沼の大うなぎ
「沼ノ内の弁天様」と親しまれる賢沼寺の門前に、どんな日照りにも涸れないという底知れずの賢沼が広がる。沼に棲む大うなぎは弁財天の使いと伝えられて殺生は固く禁じられ、捕って食べた者には祟りがあると恐れられてきた。かつては大人の腕ほどもあるうなぎが岸辺に寄ってきたといい、沼は「賢沼ウナギ生息地」として国の天然記念物にも指定されている。
出典・伝承元: 密蔵院賢沼寺の縁起・いわき市の観光資料
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せんがんもりのゆーふぉーのさと
千貫森のUFOの里
福島市飯野町の千貫森は、整った円錐形の山容から古代ピラミッド説がささやかれ、周辺では昔から光る飛行物体を見たという話が語り継がれてきた。「UFOの基地がある」との噂も広まり、町は平成四年、UFO関連の資料を集めた「UFOふれあい館」を山麓に開いた。以来この一帯は「UFOの里」と呼ばれ、愛好家の集う観光地になっている。土地の言い伝えと現代の噂が結びついた、町ぐるみで楽しむ都市伝説である。
出典・伝承元: 福島市飯野町の目撃譚・UFOふれあい館
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ぬまざわこのぬまごぜん
沼沢湖の沼御前
会津金山の山あいに静まる沼沢湖には、沼御前と呼ばれる主が棲むと伝わる。長い黒髪の美女の姿で現れて人を惑わし、その正体は湖を渦巻かせる大蛇だったという。鎌倉のはじめ、会津の領主・佐原十郎義連が船を出し、激闘の末にこれを退治したが、人々は祟りを恐れて湖畔に沼御前神社を建て、霊を鎮めて祀った。霧の立ちこめる朝の湖面には、今も主の気配が漂うと語られている。
出典・伝承元: 金山町の伝承・沼御前神社の縁起
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ねこまがたけのばけねこ
猫魔ヶ岳の化け猫
磐梯山の西に連なる猫魔ヶ岳には、年老いた猫が化けて棲みつき、山に入る人を取って食ったという化け猫伝説が残る。江戸期の地誌『新編会津風土記』も山名の由来として猫又の話を載せ、山頂西のピークには猫の姿にも見える巨岩「猫石」がそびえる。会津では飼い猫が姿を消すと猫魔の山へ行ったと噂されたといい、猫の魔性を今に伝える山として登山者にも知られている。
出典・伝承元: 『新編会津風土記』・会津地方の伝承
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ばんだいさんのてながあしなが
磐梯山の手長足長
その昔、磐梯山には手の長い「手長」と足の長い「足長」という巨人の夫婦が棲み、雲を呼んで日の光を遮り、麓の田畑や旅人を苦しめたという。山が「病悩山」と恐れられていたところへ弘法大師が訪れ、どこまで大きく、どれほど小さくなれるかと巧みに問いかけ、小さくなった二人を壺に封じ込めた。以来山は磐梯山と改まり、巨人は山の明神として祀られたと伝わる。民謡に宝の山と歌われる名峰の、荒ぶる昔を語る伝承である。
出典・伝承元: 会津・猪苗代地方の伝承(猪苗代町観光協会)
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やないづのあかべこでんせつ
柳津の赤べこ伝説
慶長十六年の大地震で、柳津の福満虚空藏菩薩圓藏寺の堂宇が崩れ落ちた。只見川を望む断崖の上へ堂を建て直す難工事に人々が困り果てていると、どこからともなく赤毛の牛の群れが現れ、荷を引く黒毛の牛を助けて重い材木を運び、堂の再建を成し遂げさせたと伝わる。人々はこの働き者の牛を「赤べこ」と呼んで讃えた。会津の張り子人形「赤べこ」は、この忠牛にあやかる魔除け・疫病除けの縁起物である。
出典・伝承元: 福満虚空藏菩薩圓藏寺の縁起・柳津町の伝承
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