ヒャッキマップ

日本の妖怪・怪談伝承を、夜の地図で巡る

岩手県の妖怪・怪談伝承 12選

岩手県に古くから伝わる妖怪・怪談・伝説のスポットを、出典つきで紹介する。気になる伝承は「夜の地図」で実際の場所をたどってみよう。

うねどりさまのえんむすび

卯子酉様の縁結び

河童・水の怪 📍 遠野市 下組町 卯子酉様 🕰 江戸時代 怖さ 🏮
遠野の愛宕山の麓一帯はその昔大きな淵で、卯子酉様と呼ばれる淵の主が棲んでいたという。この主に祈ると男女の縁が不思議と結ばれると伝わり、淵が消えた今も小さな祠が残る。境内の木々に左手だけで赤い布を結べれば恋が叶うといわれ、無数の赤布が風に揺れる様子は、遠野郷でも名高い縁結びの光景となっている。
出典・伝承元: 『遠野物語拾遺』三五話
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かっぱぶちのかっぱ

カッパ淵の河童

河童・水の怪 📍 遠野市 土淵町 カッパ淵(常堅寺裏) 🕰 明治時代(『遠野物語』記録) 怖さ 🏮🏮
常堅寺の裏手を流れる小川の淵にはカッパが多く棲み、人々を驚かせたと『遠野物語』に記される。土淵の川辺では、馬を淵へ引き込もうとして失敗したカッパが村人に捕らえられ、二度と悪さをしないと詫びて放されたとも語られる。淵の畔には乳の神を祀る小さな祠があり、常堅寺には頭の皿の水で火事を消したというカッパ狛犬が座る。きゅうりを餌にした「カッパ捕獲許可証」も名物である。
出典・伝承元: 『遠野物語』55〜59話
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けいとうざんのてんぐ

鶏頭山の天狗

天狗 📍 花巻市 大迫町 鶏頭山 🕰 江戸〜明治時代 怖さ 🏮🏮🏮
霊峰早池峰の前に立つ鶏頭山は、麓では前薬師とも呼ばれる岩場の峻峰である。『遠野物語』は、この山には天狗が住むといわれ、山口村の人々は決して登らないと記す。遠野郷には山中で天狗に出会い投げ飛ばされたという類の話も多く、早池峰一帯は天狗の領分として畏れられてきた。今も修験の面影を残す険しい山である。
出典・伝承元: 『遠野物語』第二九話
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ごんげさまのひぶせ

ゴンゲサマの火伏せ

その他の妖怪 📍 遠野市 附馬牛町 早池峰神社 🕰 江戸〜明治時代 怖さ 🏮🏮
遠野郷の神楽組は、ゴンゲサマと呼ぶ木彫の獅子頭を権現様として奉じた。ゴンゲサマ同士が路上で争い、負けて片耳を失ったものもあると『遠野物語』は記す。あるとき八幡の神楽組が附馬牛の家に泊まった夜、軒に火が燃えつきかけると、ゴンゲサマはひとりでに飛び上がって火を食い消したという。火伏せや子どもの病平癒に霊験あらたかと信じられた。
出典・伝承元: 『遠野物語』(ゴンゲサマの条)
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さむとのばば

寒戸の婆

山の怪 📍 遠野市 松崎町 登戸 🕰 江戸時代末期 怖さ 🏮🏮🏮🏮
松崎村寒戸のある家で、若い娘が梨の木の下に草履を脱ぎ置いたまま姿を消した。三十年余りが過ぎた大風の日、親類の集うその家に老いさらばえた婆が現れ、「みんなに会いたくて帰った」とだけ告げて再び去ったという。以来この土地では、風の騒がしい日には「今日はサムトの婆が帰ってきそうな日だ」と言い習わしたと伝わる。
出典・伝承元: 『遠野物語』第八話
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さんちゅうのまよいが

山中のマヨイガ

山の怪 📍 遠野市 土淵町 白望山(白見山)山中 🕰 明治時代(『遠野物語』記録) 怖さ 🏮🏮
山中で道に迷った者がふと行き当たる無人の豪邸をマヨイガと呼ぶ。膳が並び鉄瓶の湯が沸いているのに人影はなく、家の物を持ち帰った者には富が授かるという。『遠野物語』には、欲のない女房が何も取らずに帰った後、川上から流れてきた朱塗りの椀で米を量ると米が尽きず、家が栄えた話が載る。マヨイガは土淵の奥にそびえる白望山の山中にあると信じられ、琴畑の集落がその入口とされた。
出典・伝承元: 『遠野物語』63・64話
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たっこくのいわやのあくろおう

達谷窟の悪路王

📍 西磐井郡平泉町 平泉 北沢(達谷窟毘沙門堂) 🕰 平安時代 怖さ 🏮🏮
平泉の南西、切り立った岩壁の岩屋に懸造の毘沙門堂が食い込むように建つ。縁起によれば、悪路王という鬼がこの窟を根城に人々を苦しめたため、延暦20年に坂上田村麻呂が毘沙門天の加護を得てこれを平らげ、報恩のため京の鞍馬寺を模して堂を建てたという。『吾妻鏡』には奥州合戦からの帰路に源頼朝がこの窟へ立ち寄ったことが記され、伝説と歴史の交わる古窟として崇敬を集めている。
出典・伝承元: 達谷窟毘沙門堂の縁起・『吾妻鏡』
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でんでらののうばすて

デンデラ野の姥捨て

幽霊・怨霊 📍 遠野市 土淵町 山口 デンデラ野 🕰 不詳 怖さ 🏮🏮🏮
山口集落のはずれにある小さな丘は、六十を過ぎた老人たちが身を寄せたと伝わる地で、『遠野物語』に蓮台野の名で記される。老人は朝に野良へ出て里の農作業を手伝い、夕に野へ帰って暮らしたといい、これをハカダチ、ハカアガリと呼んだ。姥捨てとも救いの互助とも解されるこの伝承は、生と死が隣り合った山里の記憶そのものであり、丘には往時の小屋を模した建物が復元されている。
出典・伝承元: 『遠野物語』111話
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とおののおしらさま

遠野のオシラサマ

その他の妖怪 📍 遠野市 土淵町 土淵(伝承園・御蚕神堂) 🕰 不詳 怖さ 🏮🏮
昔、農家の娘が飼い馬と夫婦になり、怒った父が馬を桑の木に吊るして殺すと、娘は馬の首に乗って天に昇りオシラサマという神になった。『遠野物語』が伝えるこの由来譚のとおり、桑の棒に馬や娘の顔を刻み布を着せ重ねた御神体は、養蚕と馬、目の神として東北の家々で祀られてきた。土淵町の伝承園にある御蚕神堂には約千体のオシラサマが並び、信仰の厚さを物語る。
出典・伝承元: 『遠野物語』69話
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とおののざしきわらし

遠野の座敷わらし

その他の妖怪 📍 遠野市 土淵町 山口(孫左衛門屋敷跡) 🕰 明治時代(『遠野物語』記録) 怖さ 🏮🏮
遠野の旧家には座敷わらしという童形の神が宿り、この神のいる家は栄えるといわれた。『遠野物語』は、土淵村山口の旧家・山口孫左衛門の屋敷から紅顔の童女が二人連れ立って去るのを村人が見かけ、ほどなく一家が茸の毒にあたって滅んだ話を載せる。家の盛衰は童とともに去るのだと人々は恐れた。山口には屋敷跡と伝わる地が残り、座敷わらし信仰を今に伝えている。
出典・伝承元: 『遠野物語』17・18話
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はやちねのてんぐ

早池峰の天狗

天狗 📍 遠野市 附馬牛町 早池峰山 🕰 不詳 怖さ 🏮🏮
遠野三山の最高峰・早池峰山は、三姉妹の女神の末娘が座す霊山と崇められてきた。その前面に剣のように立つ鶏頭山は里で前薬師と呼ばれ、『遠野物語』には天狗が住むとして遠野郷の人々が登るのを嫌ったと記される。早池峰の一帯は山男や山女の話も色濃く残る山の怪異の宝庫で、霊山への信仰と畏れが分かちがたく重なる。山麓の附馬牛には早池峰神社が鎮座し、登拝の入口となってきた。
出典・伝承元: 『遠野物語』2話・29話
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みついしじんじゃのおにのてがた

三ツ石神社の鬼の手形

📍 盛岡市 名須川町 三ツ石神社 🕰 不詳 怖さ 🏮
昔、羅刹という鬼が里で悪事を重ね、困り果てた人々が三ツ石の神に祈ると、神は鬼を三つの巨石に縛りつけた。鬼は二度と来ないと誓い、その証として岩に手形を押して逃げ去ったという。「岩に手形」が岩手の県名の、鬼が来ない里であることが盛岡の古名「不来方」の由来と伝わる。喜んだ人々が石の周りで踊ったのがさんさ踊りの始まりともいわれ、東顕寺裏の境内に注連縄の巻かれた巨石が今も立つ。
出典・伝承元: 三ツ石神社の伝承(岩手県名の由来譚)
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