高知県の妖怪・怪談伝承 9選
高知県に古くから伝わる妖怪・怪談・伝説のスポットを、出典つきで紹介する。気になる伝承は「夜の地図」で実際の場所をたどってみよう。
あしずりみさきのななふしぎ
足摺岬の七不思議
四国最南端の足摺岬一帯には、札所金剛福寺を囲むように「足摺七不思議」と呼ばれる怪異の跡が点在する。弘法大師が一夜で鳥居を建てようとした際に天邪鬼が鶏の鳴き真似で邪魔した話、銭を落とすとちりんちりんと音がどこまでも響く地獄の穴、親不孝者が押すと動かぬゆるぎ石など、大師伝説と怪異が入り交じって伝わる。
出典・伝承元: 土佐清水市の観光・郷土資料
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かつらはまのりゅうおうぐう
桂浜の龍王宮
月の名所として知られる桂浜の西端、竜王岬の岩上には海の神・大綿津見神を祀る海津見神社が鎮座し、龍王宮の名で親しまれる。祭神は竜宮の王とされる神で、その娘・豊玉姫は山幸彦と結ばれたと神話に語られる。創建は長宗我部氏の時代と伝わり、漁師たちは大漁と海上安全を、参拝者は良縁をも願い、荒波が岩を洗う岬の社に手を合わせてきた。
出典・伝承元: 海津見神社の由緒・記紀の海神神話
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しちにんみさきときらじんじゃ
七人ミサキと吉良神社
七人ミサキは七人一組でさまよう怨霊で、行き逢った者は取り殺され、その者が新たに加わる代わりに一人が成仏して、常に七人を保つと恐れられる。土佐では、長宗我部元親の後継争いを諫めて切腹させられた武将・吉良親実に連座し、非業の死を遂げた七人の家臣らの霊が始まりと伝わる。相次ぐ怪異を恐れた人々は春野の地に社を建てて霊を鎮めた。それが吉良神社である。
出典・伝承元: 吉良神社の由緒・高知市春野郷土資料館の紹介
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とさのえんこう
土佐のエンコウ
土佐では河童をエンコウと呼び、川淵に潜んで人や馬を水中へ引き込むと恐れられた。一方で、腕を返してもらった礼に妙薬の作り方を教えたという恩返しの話も各地に残る。南国市の後川流域では初夏に子どもたちが川辺へ供え物をする「エンコウ祭」が今も続いており、妖怪への畏れが水難除けの祈りとして受け継がれている。
出典・伝承元: 土佐の河童伝承・後川流域のエンコウ祭
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とさのしばてん
土佐のしばてん
しばてんは芝天狗とも書かれる土佐名物の妖怪で、子どものような姿で夕暮れの川辺や土手に現れ、道行く人にしつこく相撲を挑む。うっかり応じれば朝まで投げ飛ばされ続けるが、命までは取らない愛嬌者として語られてきた。鏡川上流の旧土佐山村では、山に住むしばてんが旧暦六月の祇園の日に川へ入り、エンコウになると伝えられている。
出典・伝承元: 土佐の民俗伝承(旧土佐山村ほか)
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とさやまのしばてん
土佐山のシバテン
シバテンは子どもほどの背丈で全身毛むくじゃらの妖怪。夕暮れの川辺や土手に現れて相撲を挑み、受けて立てば化かされ、朝まで石や藁束と組み合っていたという。鏡川の上流にあたる旧土佐山村では、ふだん山に棲むシバテンが旧暦6月6日に川へ入り、エンコウ(河童)に変わると語り継がれてきた。
出典・伝承元: 土佐の民俗誌(国際日本文化研究センター「怪異・妖怪伝承データベース」所収)
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とどろのたきのだいじゃとたまおりひめ
轟の滝の大蛇と玉織姫
物部川支流の日比原川にかかる轟の滝は三段に落ちる大瀑で、深い滝壺には大蛇が棲むと恐れられた。平家落人の娘で機織り名人の玉織姫はこの淵の主にさらわれ、探しに来た父は水底で、若侍に化した大蛇とともに暮らす娘に再会したと伝わる。姫が形見に残したのは自ら織った絹の巻物だったという。名瀑の景観に悲恋を重ねた土佐の淵の伝説である。
出典・伝承元: 轟の滝の玉織姫伝説(香美市・観光協会の紹介)
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むろとのもうじゃぶね
室戸の亡者船
土佐の漁村では、盆の十六日に沖へ出ると、水死者の霊を乗せた亡者船に行き逢うと恐れられた。亡者は「柄杓を貸せ」と迫り、うっかり貸せば海水を汲み入れられて船を沈められるため、底を抜いた柄杓を渡し、灰や餅を海へ投げて難を逃れたという。黒潮の迫る室戸岬の沖は、こうした海の怪異譚が色濃く残る海域である。
出典・伝承元: 高知県沿岸の漁村民俗誌(怪異・妖怪伝承データベース所収)
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ものべのいざなぎりゅう
物部のいざなぎ流
物部川上流の旧物部村には、陰陽道・修験道・仏教などが溶け合った独自の民間信仰、いざなぎ流が伝わる。太夫と呼ばれる祈祷師は紙を切った御幣をあやつり、長大な祭文を唱えて病や災いの因を占い、式王子という神霊を使うとされる。呪詛の作法までも体系に残ることから、現代に生きる陰陽道として民俗学の注目を集めてきた山里の伝承である。
出典・伝承元: 香美市物部町の民俗(高知県立歴史民俗資料館の調査ほか)
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