滋賀県の妖怪・怪談伝承 8選
滋賀県に古くから伝わる妖怪・怪談・伝説のスポットを、出典つきで紹介する。気になる伝承は「夜の地図」で実際の場所をたどってみよう。
いぶきやまのあらぶるかみ
伊吹山の荒ぶる神
東征を終えたヤマトタケルは、素手で伊吹山の神を討とうと山に登り、牛ほどもある白い大猪に出会った。神の使いにすぎぬと侮って言挙げしたが、それこそ山神の化身であり、激しい氷雨を降らされて心身を打ち砕かれる。山を下りた英雄はついに回復せず、伊勢の能褒野で命を落としたと記紀は伝える。伊吹山は古来、荒ぶる神の宿る霊峰として畏れられてきた。
出典・伝承元: 『古事記』・『日本書紀』
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たろうぼうのおおてんぐ
太郎坊の大天狗
近江平野に突き出た赤神山の巨岩群に鎮まる阿賀神社は、神を慕って住み着いた大天狗・太郎坊が今も神域を守ると伝えられ、「太郎坊宮」の名で親しまれる。参道の巨岩「夫婦岩」の間に開いた幅八十センチほどの隙間は神力で開かれたといい、悪心ある者が通れば岩に挟まれると伝わる。天狗の守る勝運の山として、今も参拝者が急な石段を登る。
出典・伝承元: 太郎坊宮(阿賀神社)の社伝
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ちくぶしまのりゅうじん
竹生島の龍神
琵琶湖の北に浮かぶ竹生島は、古くから弁才天と龍神が鎮まる神の島とされ、島そのものが信仰の対象だった。謡曲「竹生島」では、参詣した廷臣の前に弁才天が姿を現し、湖中から龍神が現れて宝珠を捧げ舞い遊ぶ。島の都久夫須麻神社の龍神拝所では、湖に向かってかわらけを投げ、鳥居をくぐれば願いが叶うと伝わる。湖の恵みと畏れを龍神に託した近江の信仰の島である。
出典・伝承元: 『竹生島縁起』・謡曲「竹生島」
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ひえいざんのてんぐぜがいぼう
比叡山の天狗是害坊
唐の大天狗・是害坊は、日本の天狗の手引きで比叡山に渡り、修行僧を惑わそうと高僧に挑んだ。しかし僧を守る護法童子に散々に打ち据えられて大敗し、賀茂の河原で湯治をして傷を癒し、ほうほうの体で唐へ帰ったという。天台の総本山延暦寺の法力を示す説話で、絵巻や狂言の題材として親しまれた。比叡山は法性坊と呼ばれる大天狗の住処ともされる。
出典・伝承元: 『今昔物語集』・『是害房絵巻』
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ひらはっこうとおみつのひれん
比良八荒とお光の悲恋
堅田の浮御堂に籠る若い修行僧に恋した娘お光は、百夜通えば妻にするという約束を信じ、夜ごとたらい舟で湖を漕ぎ渡った。満願の夜、僧が目印の灯りを吹き消したため、娘は比良おろしの突風に呑まれて湖に沈んだという。以来、春先の比良八講の頃には娘の怨みで湖が荒れるといわれ、「比良八荒」と呼ばれる。湖上安全と娘の霊を慰める法要が今も営まれる。
出典・伝承元: 滋賀の昔話「比良の八荒」・比良八講の由来伝承
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みいでらのてっそ
三井寺の鉄鼠
白河天皇の皇子誕生を祈願して成就させた三井寺の高僧・頼豪は、褒美に願った戒壇の建立を比叡山の反対で退けられ、憤怒のまま断食して果てた。その怨念は石の体と鉄の牙を持つ大鼠と化し、多くの鼠を率いて比叡山に押し寄せ、経典や仏像を食い荒らしたと伝わる。後に鉄鼠と呼ばれ、山門と寺門の対立が生んだ怪異として名高い。
出典・伝承元: 『平家物語』・『太平記』
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みかみやまのおおむかで
三上山の大百足
平安の頃、瀬田の唐橋に横たわる大蛇を恐れず踏み越えた武士・俵藤太(藤原秀郷)は、龍神の化身だったその大蛇から、一族を苦しめる大百足の退治を頼まれる。百足は三上山を七巻き半するほどの巨体だったが、藤太は唾を付けた矢で眉間を射抜いて倒したという。近江富士と呼ばれる秀麗な三上山は、この伝説から「ムカデ山」の異名も持つ。
出典・伝承元: 『俵藤太物語』(御伽草子)・『太平記』
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よごこのはごろもてんにょ
余呉湖の羽衣天女
余呉湖に八人の天女が白鳥の姿で舞い降り、水浴びをしていた。土地の男・伊香刀美は白い犬に命じて末の天女の羽衣を隠し、天に帰れなくなった天女を妻に迎えて子をもうけたが、のちに天女は羽衣を見つけ出して天へ去ったという。『近江国風土記』逸文に載る日本最古級の羽衣伝説で、湖の北岸には天女が衣を掛けたと伝わる衣掛柳が受け継がれている。
出典・伝承元: 『近江国風土記』逸文(伊香小江の羽衣伝説)
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